認証の受けられない業種

認証の受けられない業種

B Corp認証は基本的に業種や規模を問わず取得を目指すことができる。より良い社会を皆で築いていくために、より多くの企業を巻き込み、その力を結集させる意図があるからだ。

しかし、どんなに社会貢献活動をしていたとしても、そのビジネスそのものが環境や社会に多大なるマイナスの影響を及ぼす可能性のある業種に関しては、B Labが追加的な基準を設け、それをクリアしないと認証を受けられないようになっている。そうした懸念のある業種を「Controversial issues(物議を醸す問題)」と呼び、B Lab公式ウェブページ内で公表している。

最近はこの懸念のある業種が増えてきた。いわゆる世の中のサステナビリティに対する関心が高まる一方で、人権搾取や環境汚染の温床となりうるような懸念や指摘も高まってきていると見られる。せっかく認証を目指していく中で、プロセスに進めなくなるケースもある。もちろん自己採点アセスメント・BIAに挑戦することは、認証が取れる・取れないに関わらず無駄にはならないが、自社が該当するかどうかは事前にチェックしておくことをお勧めする。

対象となる業種

対象となる業種のうち、対応が大きく3つに分かれる

① B Lab内でその業種の環境や社会に対するリスク低減のための要件が何か定義されている
② B Lab内でリスク低減のため検討が開始されているが、現状認証プロセスを先に進めることができない
③リスク低減のための要件が何かまだ検討されておらず、実質認証プロセスを先に進めることができない

①に関しては、要件が満たされれば認証取得をすることができるが、例えばカジノなど、かなり厳しい基準が設定されており、現状認証を受けている企業がいない業種もある。該当するのは下記の業種である。下記は各業種ごとにB Labのガイドにリンクしているので、対象となっている理由と対策を参照されたい。

ブラジルの農業:アマゾンなど大自然破壊や所有地をめぐる紛争
スイスの銀行:タックスヘイブン、詐欺、マネロンなど不透明性
ペットボトル飲料水:水の利用、アクセス、廃棄物
大麻関連製品:法的扱い、潜在的悪影響、
カジノ産業:ビジネスモデル、ギャンブル、地域社会への潜在的悪影響
チャリティー宝くじ :ギャンブル、低所得者層への不相応な影響、寄付に対する不透明性
新興国での債権回収:債務者に対する非倫理的な扱い、債務者のデータの正確性・プライバシー・セキュリティ
防衛関係にクライアントを持つエンジニアコンサル会社:他者を傷つける行為に悪用されるおそれ
タックスヘイブンや富裕層向け金融サービス:実質的所有権や富の源泉の隠蔽、マネロン、汚職、脱税や租税回避
営利目的の高等教育:ビジネスモデル、募集方法、教育の質
化石燃料及びエネルギー産業:気候変動につながる温室効果ガス排出に重大な責任がある
母乳代替品マーケティング:36か月以下の乳児を対象とした商品で、特定のマーケティング手法が母親の母乳育児の選択に過度の影響を与え、ひいては乳児の健康に悪影響を及ぼすおそれ
鉱業:環境的・社会的悪影響の甚大なリスク
孤児院(児童養護施設)を拠点としたボランティアプログラム:個人に対してやシステミックなリスクへの懸念
医薬品:公衆衛生への懸念
刑務所産業・労働:大量収容や司法制度における制度化された抑圧に関する問題、サービスの品質、価格、搾取
人権侵害に関与している政府がクライアント:製品やサービスを通じて人権侵害を直接的に永続させたり、加担する形で悪用されるおそれ
税金戦略・アドバイザリーサービス:税金は健全な社会に不可欠で、企業には適正な納税を行う倫理的責任がある
水道事業:民営化による水質低下やそれに伴う公衆衛生上の懸念、水道料金の上昇、汚職
動物園・水族館・サファリパーク:不自然な生息環境での飼育、不十分なケア、野生動物の捕獲

 

②のB Lab内で現在検討が進んでいる業種は、Uberやライドシェアなど位置情報をベースとしたプラットフォームと、戦争・紛争地域で事業を行う企業である。

③の現在B Lab内での基準開発の目処が立っておらず、実質認証プロセスを進めることができない業種は下記の通りである。

・自動車・機械:化石燃料で動く自動車や機械の製造・レンタル・販売。中古車も含む。
・ブロックチェーン検証済みデジタル資産:暗号資産やNFTなど。
・Controversial issuesに該当する業界がクライアント:直接取引や投資。
・ハイリスクな建設:石油ガスの採掘や、解体・爆破を伴う建設。
・コンテンツモデレーション(投稿監視):ユーザーが作ったコンテンツを監視する()。
・先進国市場における債権回収
・直販:マルチ商法、ソーシャルセリング
・漁業、水産、養殖
・ハイリスクな医療・サービス:過失や死亡事故が起きやすい、プライベートエクイティ所有の医療機関
・宝飾品:金、銀、ダイアモンド、宝石など
・パーム油
・農薬・肥料:除草剤、殺菌剤、殺虫剤、産業分類コード(SIC)287に該当する肥料
・プラスチック・使い捨てプラスチック:石油由来のプラスチック
・屠殺場
・ソーシャルメディア

該当しそうな場合は、予めB Lab本部に確認しておくと良い。

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