B Corp認証取得 社内での進め方

B Corp認証取得 社内での進め方

その進め方は十人十色。会社の形態、規模、経営者の方針、組織、事業内容、会社の文化などにより異なる。2020年以降世界中から認証申請する企業が非常に多く、申請待ちの長蛇の列ができており、取得までに1年ほどの時間を要してしまう。社内でじっくり吟味しながらゆっくりと進める企業もあれば、制度は手早く整えB Corp認証の審査を待ちつつ、ボーダーラインの得点以上により良い企業になるための模索を始める企業もあるだろう。

しかしどんな会社であっても、まずはアセスメントで自己点検をするところからスタートする。B Corpとは何か、認証を取得できるか、自社はB Corpを受けるに相応しいのか、どんな取り組みをすればいいのか、制度変更にコストはいくらかかるのか、悩む前にまず問いを見てみるのが早い。そして点数を把握して足りない部分を補う。

ここでは一般的な認証の進め方を紹介しよう。

 

B-Corp-認証取得-BIA-社内での進め方

BIAを俯瞰

B Corpとは何かを知る方法として、BIAを眺めて、何が求められるか、何が評価されるのかを把握するのも一つの手である。B Corpの概念に賛同して自分の経営する会社をB Corpにしたい、と考える経営者も自身が一度眺めてみると、より理解が深まり、取得に必要な要素が見えるかもしれない。1人のサステイナビリティ担当として経営層を説得して取得を目指したいと考えているなら、具体的に求められる項目を取り上げて、取得できる可能性やなぜふさわしいかを説明する材料になるかもしれない。

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BIAに回答

実際にBIAに回答していく。事業領域や管理領域によって部署があるなど組織が大きい場合は、サステイナビリティ担当者などがBIAの質問項目をエクセルなどにダウンロードし、領域などで分割、それぞれ担当者に配布、回答を集約といった手順も考えられるだろう。
創業したてだが、B Corpの概念を初期から社内に取り組んでいきたいと考えていたり、組織が小さい場合は、経営者自らが時間を取って1つ1つの質問に答え、厳しい世界基準に面と向き合うのもなかなかのエクササイズだ。
180項目前後の質問に答えるのは簡単そうで、意外と骨が折れる。社内自力で進めるのが難しければ、外部からのコンサルタントに手伝ってもらいながら、ヒアリング形式で順に回答していくのも効率的である。

回答する際には、制度が明文化されているか、実績があるか、第三者が見て明らかか、という視点で振り返る。そこまで至らないが取り組んでいる、もしくは全く取り組んでいないがすぐにでも導入したいという意志があるものについてはマーキングしておき、ボーダーラインである80点に足りなかった場合に取り組む項目として認識する。

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点数を確認

BIAの点数確認はBIAツールに回答を入れながら行う。回答によって後の質問が変わるため、必要に応じて経営者や社内の担当者に追加で問い合わせながら回答入力を進める。無事80点を超えればそのまま提出プロセスに進む。

もし80点に到達していなければ、前段で確認した、取り組む意思のある項目を中心に、それによって得る点数や難易度、タイムライン、コストなどを勘案して80点到達までの道筋を立てる。一度入力した回答は何度でも修正が可能なので、「もしここでこう回答したら何点になるか」を実際に入力することで確認し、その後回答を元に戻しておけばいい。

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制度を整備

80点到達のために必要な取り組みを実行する。そして完了できたら随時BIAに更新していき、80点が確実になったところで提出する。また証拠提出を求められる際にすぐに対応できるよう資料を整理したり、BIAツールの各質問項目のコメント欄にメモをしたり、準備をしておく。

大きな組織の場合や一部の社員でプロジェクトとしてB Corpを進めている場合は、各種制度化への協力やB Corpとして何を目指し、どんなメリットを享受しながら会社はどこへ向かうのか、改めて社内やサプライヤー、その他のステークホルダーに知ってもらう機会をこのタイミングで設けるのも良いかもしれない。

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本部と確認

提出後、B Corpとしての宣誓にサインをした後は、本部側でレビューを行うアナリストがアサインされるのを待つのみである。2022年9月現在では、このステージにたどり着くまでに半年以上を要する。今後本部でも人員を増やすなどの対策がなされるはずだが、日に日に増えるB Corpの数を見守りつつ、それらの企業をベンチマークしながらボーダーライン以上の取り組みを、待っている間にも始めていきたいところである。

B-Corp認証提出後のプロセスと待ち時間-22年9月時点
B Lab・BIAサポートページより筆者作成

アナリストがアサインされた後はまず「Evaluation」ステージとなり、会社の基礎的な部分をレビュー。企業の形態、またそれらがBIAの質問を左右する基礎情報に正しく反映されているか、Impact Business Modelが採用されている(特定の領域において高く評価されている)場合はその回答内容が正確か、などが確認され、最大3か月を要する。

その後「Verification」ステージに移り、ランダムに選ばれた質問について証拠をアップロードする。そして電話会議にて確認をし、不足しているものがあればその後オンラインでアップロード等のやりとりを続ける。これがスムーズに進めば数か月以内にプロセスを完了し、認証を獲得できる。

B Corpの旅は続く

B Corpの良さは認証を取得して終わりではないことだ。B Corp同志で高めあい、協業し、イニシアティブを先導するなど、可能性は無限だ。

認証プロセスは長いかもしれないが、これを機にいろんなことが良い方向に向かう、そんな楽しい旅をしていきたいものである。