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B Corpの視点:コロナは「より良き社会」へ変革するか

B Corpの視点:コロナは「より良き社会」へ変革するか

ワクチン承認が各国相次いで発表された後も、変異種か気の緩みか、世界的にコロナ感染者数はまた増えつつあり、なかなか終わりが見えてこない。国によっては感染拡大を抑えるための「ロックダウン」が施行されているが、いわば経済活動の停止もこれ以上無尽蔵にできない。未曾有の中でもビジネス界に希望はあるのか?

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(WHO、1/9までに確認された感染者数・時系列)


アメリカのビジネス誌「FAST COMPANY」によるB Lab(Bラボ)共同創設者へのインタビュー記事を紹介しよう。これは昨年3月末に書かれたものであるが、今や感染者確認数は当時よりはるかに高く、そして長期戦となっている。だからこそこの間に学びを得た企業たちがもっともっと良い方向へと変わっていくかもしれない。

(以下、記事より)

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コロナウイルスの危機とそれに続く経済的崩壊が拡大するにつれ、多くの企業が方針を変更した。低賃金の時給労働者とギグワーカーに対し初めて、一時的に有給の病気休暇取得を提供したケースもある。しかし、危機が終わったとき、生き残った企業はより永続的な変化を起こすだろうか?

社会的利益に焦点を当てている企業を「Bコーポレーション」として認定する組織であるB Labの共同創設者、アンドリュー・カッソイ氏は、このパンデミックが、すでに進行中だった変革をさらに加速させる可能性があると主張している。

ここ数年で、株主資本主義からステークホルダー資本主義に移行するという新しいコンセンサスがすでに形成されていると思います。


2019年のビジネス・ラウンドテーブルでCEOが署名した、少なくとも言葉では、より社会的責任を果たすという新たなコミットメントの例などがある。

メッセージはすでに業界内では大音量ではっきりと聞こえていると思います。そして、この危機はチャンスを生み出すと思います。この危機により私たちは、強靭な経済システムを構築してこなかったことが露呈しました。次の危機、それ以降も何度かあるかもしれませんが、それらに備えて企業と政府の双方がどのように役割を果たすかに焦点を当てる機会になるのです。」 

今回の危機は、これまで見えていなかったとしても、どれくらいの人々が経済的に脆弱な生活を送っているかを明らかにするであろう。

アメリカ人の40%が、予期せぬ500ドルの出費(緊急事態)に備えていないという、よく引用される統計があります。そして今、私たちは皆その緊急事態に遭遇しています。 株主第一主義がCOVID-19の危機を引き起こしたわけではありませんが、労働者と地域社会がこのような経済低迷に備えていないシステムがあるという事実を確実に明らかにしました。失業率がどれだけ速く上昇したかでわかるでしょう。そして代替の収入源を探す多くの労働者の絶望、大規模な企業救済の必要性が見受けられます。また実は労働者に蓄えを持てるだけの十分な支払いをしていた企業ですら、以前とは異なる状況にあり、数兆ドルの救済が必要になる可能性があります。これはまだほんの始まりにすぎないはずです。」 

社会的・環境的パフォーマンスの厳しい基準を満たさなければならないB Corpは、実際には危機を乗り切る準備が整っている、とカッソイは主張する。前回の金融危機の時、B Corp認証取得企業は、他の同様規模の企業よりも不況を乗り切る確率が63%高かった。

それらの企業はより強靭だったのだと思います。労働者や顧客、サプライチェーンを通してより強固な関係を持っていたから乗り切れたのです。今回も似たような現象が見られると思います。

労働者に利益をもたらすために変更を加えることを、より多くの企業が選択する可能性がある。今は多くの企業が明らかに苦戦しているが、経済が改善した時、一部の企業は、CEOへの高額すぎる報酬や他の投資を行ったりするのではなく、従業員に生活賃金(生活をするための最低限の賃金)を支払い、より良い福利厚生を提供するようになるかもしれない。

投資家も、より広範に改善を推進する必要があります。個々の英雄的なCEOがビジネスシステム全体を変えることを期待するのはかなり難しいです。だから投資コミュニティも役割を果たす必要があるのです。彼らは、個々の企業よりも、システム全体の安定性に関心を持っています。

政府もまた明確な役割がある。危機の際に救済した企業に対する条件設定と、病気休暇や医療アクセスなどのポリシーを恒久的に改善するための法律を可決することの両方の観点でだ。

 「すべての企業がB Corpのようになれるべく、ゲームのルールを変更することです。

最後にカッソイ氏はこう語る。

これとは反対の方向に進んで振りだしに戻ってしまったら、これまで大して学んでこなかったということになります。


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B Corp取得企業は中小企業が多い。B Corpのコミュニティ内で助け合うべく、B Labはコロナ対策用のウェブページを立ち上げ、スモールビジネス向けの支援や政府補助制度などの情報提供、企業がとるべき行動のアドバイス、他企業が取り組む社会的活動の事例などを共有している。その中で、B Corp企業たちの取り組む事例の一部を紹介して本記事の結びとしたい。日本のコミュニティ内でもたくさんの良い活動が行われていると思うが、感染者数の増加だけを追い求めて悲観的にならず、できることをやっていきたいところである。

Smiile (フランス)
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B Corp EU コロナ事例紹介ページより

2019年末にみずほ銀行も提携した、フランスのスタートアップによるコミュニティ内の連携サポートサービス、Smiile(スマイル)。コミュニティ内でのニュースの共有、スキルシェア、住民との交流などのサービスを提供していたが、今回のコロナ対策での厳しいロックダウンにおいてさらに重宝されることとなった。外出できない人のために食料を届けたり、オンラインで近所の人と交流することなど促し、今やフランス国内で50万人がサービスを利用している。

7Peaks Brasserie (スイス)
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B Corp EU コロナ事例紹介ページより

「助け合うことは当たり前のこと(ノーマル)だ」ということで、「Norm’Ale」(ノーマル)ラベルのビールを販売。1本あたり25円弱程度が非営利団体に寄付される。バーコードによってどこの団体に寄付されたかを照会できるようになっている。稼ぎ頭であった、大量のビール納入するあるイベントが中止されてかなり苦しい状況に陥ったときに、「我々は確かに苦しい。だけど周りの人たちも困っている。だったらお客さまに助けを求めようじゃないか。その代わり我々は誰かを助けるんだ。」という強い意志でこうした活動が始まった。

Plastic Whale (オランダ)

Plastic Whale の教育プログラムの紹介ビデオ


プラスチックごみを回収し、そこから役立つ製品を開発したり、教育プログラムなどを運営するPlastic Whaleが、ロックダウンにより自宅での学習を余儀なくされている子どもたち含め、これまで小学校でやっていたカリキュラムを全ての家庭で受講できるようにオンライン教育プログラムへと変換。ゲーム形式で、「プラスチックスープ」問題の認知、観察、アクションといったカリキュラムとなっている。

Luke’s Lobster (アメリカ)

日本にも進出しているニューヨーク発のロブスターロール店は、コロナと戦い続ける医療従事者へのランチ寄付を実施。顧客からの医療従事者へロブスターロールを寄付した場合は25%割引を受けられる仕組みを作ったりした。顧客によっては20個のロブスターロールを指定の病院に届けるように、といったオーダーもあったようだ。魚業組合と牧場とのコラボでラザニアを届けるなど、他社との協業にも積極的だ。