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なぜB Corpになるのか

なぜB Corpになるのか

B Lab(Bラボ)によって確立されたB Corp認証ベネフィット・コーポレーション制度。企業はなぜ普通の会社(Corporation)「C」から「B」になることを選択するのだろうか。

2021年2月、B Labが企業の経営者向けにPlaybook(パンフレット)を発行した。B Crop認証取得の一環として、ベネフィット・コーポレーションの企業・ガバナンス形態を採用するための手引きとなっていて、その中のベネフィット・コーポレーションとB Corpの違いは先の記事で紹介した。

ベネフィット・コーポレーションはアメリカの一部の州でしか採用されていない企業形態であるため、日本企業が採用することはできないが、もはやその形態の差は問題ではなく、どちらも成り立ちが同じで制度の差だけである。

このPlaybookの中には、企業がなぜベネフィット・コーポレーションの形態を採用したか、経営トップへの発言をまとめている。会社紹介と共に彼らの言葉を紹介しよう。

「B Corpだからといって投資を控えた投資家はいない」

ゴールドマン・サックスも出資する100%植物性の乳製品を作る会社、Ripple foods。エンドウ豆からミルクを作っており、多大な二酸化炭素排出を伴うと言われている乳牛を飼育して得るミルクより環境負荷が低いとして、ウェブサイトではリアルタイムで環境負荷の指標を公開している。


B-Corpのrippleはフットプリントを比較している
Ripple Foodsのウェブサイトより

多くの既存企業は、社会的・環境的利益を推進する会社に完全に賛同しているか、それに特化して投資しています。そうした企業は投資先の会社が本物であること、つまり測定可能な結果を導き、継続的改善の能力を築くような会社であることを望みます。我々がベネフィット・コーポレーションだからといって投資を控えるような投資家がいたことはこれまで一度もありません。
(ロウリーCEO)


「二項対立にプレーヤーを追加することでビジネスもうまくいく」

 ソフトバンクが127億投資するなど他のVCからも注目を浴びている、保険テックスタートアップ、Lemonade。従来「掛け捨て」が基本の保険金をあくまで顧客の資産として預かり、使わなかった分は慈善事業に寄付する。加えてチャットボットなどのAI技術をフル活用して、顧客にとっては簡単に、会社にとっては人件費を抑えた保険事業である。


lemonadeはb-corp認証を取得した
Lemonadeのウェブサイトより

アンダーライティング(保険業務)からの利益の多くを非営利団体に寄付しているベネフィット・コーポレーション、B Corpとなったことでビジネスモデル全体を再考することができました。実際、私たちはフラットなBモデルに存在しています。

我々は既存の保険会社とは違い、むしろテック企業のようなモデルです。顧客から1ドル受け取って、その金利25セントが 保険金支払いや再保険の掛け金を払った後でも残ってたら、顧客の選ぶ慈善事業に寄付するというのをあらかじめ約束します。これはただ良いことをしているだけではありません。利益の一致です。

だから顧客の保険金申請を却下することで我々が儲かることは無いし、顧客は申請をごまかそうとする前に二度考える。今2人のゲームプレーヤーが互いに対立しているところから、非営利団体というプレーヤーを追加することによって3者の良い関係を築いていければと考えています。それは顧客の誠実さを保ち、我々の誠実さも保ちます。

我々はこうしたビジネスモデルによって、市場に出てたった3年で、保険業界において最も信頼され、愛されているブランドの1位にのぼり詰めることができたのです。
(シュライバーCEO)

利害関係者が増えるというのは一見面倒なことだが、Lemonadeはビジネスモデルの中にうまく組み込み、人間の心理によって全者の利益を最適化しようと考えている。結果的に魅力的なブランドとなり、資金調達に成功した好例の一つだ。


「ステークホルダーのことを考えるのは利益を考えるより楽しい」

卵を中心としたエシカル食品を扱うVital farm。上場後の時価総額は1300億円を超えた。放し飼いで自由に駆けまわっている雌鶏が産んだ卵を、大手スーパーなどにも卸している。


B-Corpのvital-farmは自然に優しい卵を販売
Vital farmのウェブサイトより

私は常にイグジットを考えていました。金持ちになるためではありません。従業員、顧客、株主、環境と、かつて自分が注力してきたことに集中できるからです。ステークホルダーのことを考えるのは利益のことを考えるよりはるかに楽しいです。
(オヘイヤーFounder)

B Corp認証を取得しようとしている企業へのアドバイスは、最初から、全てのステークホルダーを中心に会社を築くことです。この基盤は、長期的にサステイナブルな事業を導くだけでなく、みんなにとってより強靭な経済組織となります。
(ディエス-カンセコ社長兼CEO)


「10年後には『なぜB Corpじゃないの?』と問うようになる」

様々なデータの管理、共有、戦略等に使えるような加工といったソリューションを提供するdata.world。オープンデータソースのプラットフォームとして、様々なデータの公開も行っている。

data.worldはベネフィット・コーポレーションとなった
data.worldのウェブサイトより

我々は実は2015年には「C」法人としてdata.worldを設立したのですが、その後、B Corpのことを知り、すぐに方向転換して2016年7月11日にベネフィット・コーポレーションとなりました。これは我々が下した最良の決断の1つであり、顧客、コミュニティ、投資家、従業員、パートナーたちと共に真の違いを生み出しています。今日は「なぜあなたはBコーポレーションなのですか?」と言われますが、10年後には「なぜあなたはBコーポレーションではないのですか?」とみんなが質問するだろうと確信しています。

そして我々の存在理由について聞かれたら、いかに我々は使命を大事にし、長期的視点で会社を築いていってるかを伝える絶好のチャンスです。
(ハートCEO兼共同創設者)

「心地よさ、デザイン、サステイナビリティは共存できる」

日本では原宿に上陸したシューズ&アパレルブランド、オールバーズ。 二酸化炭素排出ゼロを目指し、あえて全ての商品にカーボンフットプリントを表示し、コミットしている。


B-Corpのオールバーズはカーボンフットプリントを全ての商品に表示している
allbirdsのfacebookより

これは2018年10月、日本を含めた世界進出を目的とした資金調達シリーズCで5000万ドルを獲得した際のコメントだ。

気候変動は我々の世代の問題であり、民間企業はそれと闘う責任がある。今回の資本投入は我々が、世界のもっと多くの人々へサステイナブルな商品を生み出すための一助となる。そして心地よさ、デザイン、サステイナビリティは共存できることを示している。
(ズウェリンガーCEO)