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「最も高い基準」ではなくなったB Corp認証

「最も高い基準」ではなくなったB Corp認証

数ある認証のなかで、なぜB Corp認証なのか。それは、いわゆる「サステナビリティ=環境に優しい」ということだけでなく、ガバナンスや社会的活動、顧客対応も含めて5分野であらゆる角度から会社を第三者の視点で評価するものだからである。そして認証を取って終わりではなく、認証を得た企業同士が連携しよりよい世界に向けてアクションを起こしていくムーブメントがそこにあるからだ。

では、決して楽でない道のりで労力をかけて取得するB Corp認証に将来性はあるのか。それはB Corp自身もよりよいものを目指して改善しつづけていることに答えがあるだろう。

改善を続けるBIA

まずB Corp認証取得の第一歩となる自己採点アセスメントであるB Impact Assessment(略してBIA)。2007年にB Corpが誕生して以来15年、改訂を続け現在のバージョンは6番目となる。その間もマイナーチェンジは続けられ、質問への補足文などは随時変更されているように見受けられる。そして2023年春には大幅な改定が予定され、BIAそのものの在り方に加え、新しい必須項目が設定される。B Corp認証企業が常に「いい会社」の最先端であるために、基準を高めていっている点は信頼ができる。

B-Corp-BIA-B-インパクト-アセスメント-実際の画面
アセスメントの実際の画面

新設された認証企業の発信に対するガイド

そして2021年末にブランディング改訂がされ、ウェブサイトもこれまでのグレーベースにカラフルなイラストだったところから、くっきりとした白と黒のベースに黄色のさし色が加わった。同時にブランドガイドラインも改訂され、さらに2022年夏にB Corp企業からの発信に対するガイドも加わった。認証企業が5000社を超え、認証待ち企業が同等以上あるという空前のB Corpブームは嬉しい悲鳴であると同時に、数が増えるということはこれまで大切に育ててきたB Corpのコミュニティの形が変わってしまうリスクを伴っていることでもあるからだ。

B Corpムーブメント及びB Labについてのコミュニケーションは基本的にポジティブで、インクルーシブで信頼のあるものでなければならない。

ポジティブ

すべての人々と地球のためによりよいことをしている企業を賞賛し、その成功事例やB Labの提供するツールやフレームワークを活用しながらどのように改善に取り組んでいるかを紹介している。我々のコミュニケーションは、非難したり恐怖心を煽ったりするのではなく、楽観主義と現実主義に根ざしている。経済システムの変革を推進するために、我々が皆できることで高めていく。

インクルーシブ

全ての声を対話の中に取り入れることで、我々は世界の商慣習における変化を加速させようとしている。我々のコミュニケーションは、正義、公平性、多様性、包括性を中核に据え、ビジネスを運営する側や、これまで企業という世界の中で対話や意思決定の場から排除されてきたようなステークホルダーたちとの理解と連帯を育んでいく。

信頼性

B Lab は、世界中のビジネスインパクトの管理と測定という分野においてリードする存在である。我々のコミュニケーションは、B Labの、厳格で継続的に改善されるB Corp認証の基準に根ざしている。我々が語る中にある希望と楽観性は、信頼性と説明責任に根ざしている。

つまり、世界の経済システムを変革する上で悲観的・批判的メッセージを出して訴えていくのではなく、可能性を見出しながらも空想ではなく自らが行動していけるような現実解を育み、それは単なる楽観視ではなく厳しく自らを律した上に成り立つ確固たるものであるということだ。また株主だけでない様々なステークホルダーの意見を取り入れよりよい世界を目指していくうえで、コミュニケーションが誰かを排除する者であってはならないということである。

B Corp認証企業が取るべき謙虚な姿勢

ここでようやく見出しに提示した「最も高い基準」ではないというB Corpコミュニティ自身の反省の結果が、コミュニケーションガイドブックに掲載されている。

いくつかの表現について、こう言うべきではないかという提案を、具体的な例と共に示している。「日本初の」「○○業界初の」という表現が、排他的で目指している世界とは違うという指摘にとてつもない謙虚さが表れている。

コミュニケーションガイドブックでB-Labが表現の見解を述べている
B Lab発行「B Corpコミュニティ・ブランドガイドライン」p14より筆者で翻訳・編集

事実、B LabもB Corpが「Highest standards(最も高い基準)」という言葉を使って表現していた。世界の企業のベストプラクティスや報告基準などを参考に、よりよい世界を作っていくために厳しい基準を作ってきたという自負の表れでもあっただろう。

以前はB-LabもB-Corpが最も高い基準であると説明していた
21年時点B Corp公式ページのスクリーンショットに筆者が赤線付加

しかし最近はただの「High standards(高い基準)」としている。自らを省みて、改善をし続けていくB Lab自体の行動はまさにB Corp企業群の鏡である。

最近はB-LabがB-Corpを単に高い基準であるという表現にとどめている
22年9月時点B Corp公式ページのスクリーンショットに筆者が赤線付加

「est(最も)」がなくなったからと言って、基準自体が緩くなったわけではない。むしろより厳しい水準に引き上げるための審査基準改定が近々発表される見込みだ。昨今のパタゴニアのケースを含め、B Corpコミュニティの中でも大胆に舵を切って人々や地球環境を守る企業が次々とあらわれてくるかもしれないし、これからも企業同士の世界的なアクションは続いていくだろう。認証企業1万社が見えてきたところで、これからも自らを律しながらポジティブに世界を変革していく企業群であり続けていくことを期待したい。