今や4Pと言えば、Pledge、Plan、Proceed、Publish。気候変動に対し、まず何をするか宣言し、計画し、それを進めて、成果や学びを公表する。
新4Pに即したテーマで最適なソースを紹介してくれるインタラクティブなサイト「B Climate Tools Base」をB Labが公開している。ソースは概念をまとめたプレゼンテーションから、学術論文、実際に使える計算ツール、実態がよくわかる動画など多岐にわたる。全て英語で、実際に使えるかどうかはまちまちだが、B Labが収集し、それぞれの企業の対応フェーズに応じて最適なものを1か所に集めた便利なものである。
ソートできるカテゴリーは、まず二酸化炭素排出量を把握するMeasure、目標値の置き方をガイドしてくれるSet Target、全社で取り組むにあたりフレームワークを解説したStrategy & Governance、身近なところからアクションが始められるReduce Own Emissions、自社だけでなくバリューチェーン全体を巻き込むReduce Value Chain Emissions、「ネットゼロ」に欠かせない二酸化炭素排出分をオフセットするプロジェクトを探すOffsetting Report、不平等と気候変動問題が密接に関係する「気候正義」問題に取り組むためのClimate Justice、他社をも巻き込んでいくPartnerships & Advocacyとなっており、それぞれクリックすることで該当するツールが表示される。
メニューでは水、土地利用、在宅勤務などの取り組みたいカテゴリー、ガイドブックかポッドキャストかなどの形式を選択したり、ツールの発行団体を入力して検索できる。
ツールの内容は、例えば、社内で「ネットゼロ」を推進するための、B Corpが中心となって立ち上げられた「Race To Zero」イニシアティブが作成したガイドがあり、4つのステップを紹介している。
社内で推進するには、経営層や社員に具体的に何がどう問題となっているかの背景説明も必要となるだろう。「2050年までに二酸化炭素排出をネットゼロにする」の根拠となっている、地球の温度上昇を産業革命以降から+2℃より十分低く、+1.5℃を目指す、という数字を、様々な環境インパクトで示し一括でまとまっている便利なウェブサイトもある。B Corpである新聞社・カーディアン出身の創業者が様々な気候変動問題関連の情報を発信しているウェブサイトで、ジャーナリズム系の賞も数々取得しており、掲載されている情報は信頼できる情報源から取得されている。
「ネットゼロ」を目指す第一歩は、B Corp取得への旅と同様、まずは己を知ることから始まる。自社の二酸化炭素排出量を算出するには専門家に依頼するのが確実だが、オフィスワークについては概算でざっくり把握することもできる。アメリカ向けなので日本企業には参考にしかならないが、会社の所在地や規模などを入力することで年間の二酸化炭素排出量が即座にグラフで示されるツールがある。
個人の二酸化炭素排出についても、簡単な質問に答えるだけでかわいいロボットがざっくりと算出してくれるツールもある。スウェーデンの人が開発したもので、数値は欧州をベースにしていると考えられるので日本人には参考程度だが、排出したとみられる二酸化炭素をオフセットするために、国連が認定した再エネプロジェクトに投資して、個人の「ネットゼロ」を実現することができる。これ以外にも最近は個人の「ネットゼロ」アプリやツールが多く出回っている。
ClimateHeroに法人プランもあるが、イギリスでは植林プロジェクトによってオフセットしたい企業や個人と、オフセットを実際の植林で行う事業や個人をつなげるプラットフォームもある。
B Labが発行しているガイドブックも複数あり、B Corp企業による、気候変動対策の具体的例を紹介しているものも他のソースとまとめて掲載されている。(下の内容はこちらの記事で紹介したもの)
概念のみが示された資料も多いが、B Labがオススメする様々なソースが1か所に集められており、企業のフェーズに合わせて適切なものを導いてくれるのはありがたい。検索したソースはリンクやカテゴリー付きでエクセルにダウンロードできるので他人との共有や整理にも便利だ。物足りなければ他に推薦したいツールや意見も随時受け付けている。