B Corp認証取得のハードルはいかほどのものか。もちろん簡単ではない。
しかし、「いい会社」を体現して、コミットして、まわりから認められるには必須のプロセスであり、もしかしたら近道かもしれない。
ここではB Corp認証取得のプロセスを徹底解説する。
認証プロセス
公式サイトによると、B Corp取得に要する期間は企業によってまちまち、アセスメント自体は2~3時間で終わるが、その後のプロセスは数週間~数か月かかるとしている。
日本人には言語の壁があるのと、例えばアーリーステージのスタートアップには現状確認のためのアセスメントというより、まだ確立されていない制度について議論したり意思統一を図った上で制度を作ることもあるかもしれない。しかし集中して取り組めば、のちに必要なコーポレート業務全般を完了させ、SDGsについて効率的に取り組むことができる。
また設立後数年を経過している企業にとっては、場合によって社内規定の改訂が必要となり、決定に時間を要することもあるかもしれないが、こちらも経営陣をうまく巻き込み、勢いをもって進めば一気に会社をソーシャルグッドな方向へ導ける。
①BIAを受ける
B Corpの認証はまず「B Impact Assessment」略してBIAというアセスメントを受けることから始まる。
アセスメントはガバナンス・従業員・環境・コミュニティ・顧客の5つの分野に分かれ、「環境への負荷を低減するために実施している施策は何か?」「新入社員の何%がトレーニングを受けたか?」「どのような形で寄付や地域社会への投資を実施しているか」など、180問近くある。まず最初のボーダーラインとして80点獲得できるかどうかを確認する。
超えられたら、認証機関であるB Lab(Bラボ)にレビューしてもらうため、「提出」ボタンを押すことになるが、その前に「ディスクロージャー」という質問項目もあるので、「武器等を販売する会社か」「著しい環境汚染をしている会社か」「過去に罰則を受けたことがあるか」などの質問にYes/Noで回答する。回答そのものは得点に関係ないが、認証受けるに相応しい企業か、バックグラウンドを調べる目的で設定されている。
②証拠資料提出
まずはB Lab側で簡単な確認を行う。基本的にはどんな企業でも認証申請をすることができるが、この確認プロセスにおいて、過去の認証実績等と照らし合わせながら、申請してきた企業が「B Corp」の概念に沿うことができるかをチェックしている。多くの企業はすぐに認定プロセスに入れると思われるが、プロセスが開始となるとアナリストが1名アサインされ、BIAの回答の精査に入っていく。
回答したBIAの中からランダムに6~15項目が選ばれ、証拠資料を請求される。そのため①のステップにおいて、もちろん「善良な企業市民」としてBIAで嘘をついてはいけないが、第三者が認証するにあたり説得可能な証拠があるかどうかも考えながら回答する必要がある。
➂インタビュー
B Labのアナリストが会社の状況理解を深めるために、これまで提出された資料に基づきオンライン・インタビューがセットされる。最低1回(1~2時間)、必要に応じて2~3回設定される。このやりとりを通じてBIAの回答も更新していき、場合によっては失点したり加点を得たりしながら最終的な点数を出す。また担当してきたアナリスト以外のB Labメンバーもレビューを行い、第三の視点でもB Corpに認定できる企業かどうかチェックされる。
④認証完了
最終的に80点を超えていれば、晴れて認証獲得。正式な通知と共にB Labと規約等文書にサインし、最後のペーパーワークを終えて、ロゴマーク使用権を得る。他の認証等と同様に認証費も毎年支払う必要があるが、売上高に比例した設定となっており、最低$500(5万円強)程度となっている(2021年1月現在)。
この認証費は、アセスメントプロセスや認証の質の維持等に係る費用に加え、全部WEB上でできるという便利なプラットフォームに関わるもの、ロゴ使用料、そしてB Lab認証企業同士の世界規模での交流等の対価として支払う。
これで認証完了だが、アセスメントは3年ごとに更新が必要である。また世界に3700以上の企業が属するコミュニティの仲間入りができるので、世の中をより良い方向に変えるためのインパクトある活動に参画するとともに、ビジネス上でもネットワークができれば一石二鳥である。
万が一80点届かなかったら・・
アセスメント提出時点では80点超えてたのに、B Labと細かくやり取りをするうちに、「これは取り組んでいるとは言えない」と指摘されて失点し、80点未達になってしまったらおしまい・・
かというと、そんなことはない。
B Labがプロセスの解説の中で、明確に、80点を取れなかったら超えられるように見直して再提出するように、と書いてある。
というより、80点未達企業でも公式に応援している。
アセスメントの解説サイトの事例紹介では80点に満たなかった企業も紹介しているのだ。
認定企業にも80点ギリギリも多い。「よい会社」になるために認証を取ることだけが目的ではないが、ここはせっかくなので、なんとしてでも80点超えを目指したいところだ。
BIAの内容
BIAはインタラクティブな設計になっており、企業の規模、セクター、また前の質問項目によって後の質問が変わるような仕組みになっているため、画面上で直接入力することを推奨されている。もちろん社内共有のために、エクセルに質問と回答をダウンロードする機能もある。
その企業に一番合ったアセスメントにするため、企業形態を問う、得点の無い質問もあり、その選択によって後の質問が変わる。得点のある質問についてはそれぞれ何点中何点獲得したかがわかる。
例えば環境に対する取り組みに関し、1つ取り組んでいれば1点中0.3点、2つ取り組んでいれば0.5点、3つ以上取り組んでいれば満点の1点、といった具合だ。
それぞれの質問には、その項目がどういう意図を以って設定されているのかの背景、それがSDGsゴールの何に該当するか、他の企業はどういう取り組みをしているかの例、等の解説がついていて、例えば、自国では設問の内容で問われていることを実施するのが難しいがこういった取り組みも認めてほしい、というようなフィードバックを記述することもできる。
世界基準とはいえ、商文化の差はある。アメリカ発なので日本では制度が無かったりして当てはまらない場合は「N/A(該当なし)」で回答することもでき、その分の点数調整として加点を得ることもある。
では、実際、会社でどう取り組んだらよいだろうか?
質問の全文をざっと日本語で確認したい
どう自社の経営層を説得できるか?
社内でどういったステップを踏んで取り組めばいい?
そうした疑問に答えるべく、BeTheChangeJapanでは認証サポートを実施している。詳しくはこちら。