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あなたの会社も今日からB Corp~従業員編~

あなたの会社も今日からB Corp~従業員編~

B Corp認証を取得するためのアセスメント・BIAの「従業員」分野は比較的やり方を想像しやすい質問が多い。もし新しく始めるのなら、自社らしい、わくわくする取り組みにしてみてはいかがだろうか。
ここでは一般公開されていて、ヒントとなり得るソースを紹介しよう。

Employee Handbook Information
従業員ハンドブックに含まれる情報

What is included in your company’s written and accessible employee handbook?
書面化され、随時参照可能な「従業員ハンドブック」には何が含まれるか

□ 不当差別排除宣言
□ ハラスメント防止のためのメカニズム・プロセス・懲戒処分等を記載したポリシー
□ 労働時間についての宣言
□ 給与とパフォーマンスの問題についてのポリシー
□ 福利厚生、教育機会、休暇についてのポリシー
□ 不当な扱い解決のプロセス
□ 懲戒処分プロセスと可能性のある制裁
□ 給与交渉や労働団体構成の自由等に関する中立的宣言
□ 子どもの強制労働の禁止項目

海外進出している企業はご承知の通り、「従業員ハンドブック」はB Corp発祥の地・アメリカでは一般的だが、日本の就業規則のようなもので、企業が従業員に対し働くうえでの約束ごとをまとめたものだ。不当解雇や従業員訴訟を避けるためという役割もあるが、従業員の権利を守る、重要な文書だ。具体的な内容については少し古いが、日本企業の海外進出を支援している独立行政法人JETROがガイドを発行している。

認証においては就業規則や別規定を日本語で作成しておいて問題ないと思われ、また厚労省が公開している就業規則規定モデルにほとんどの項目が含まれている。例えば、ハラスメントについては第12~15条及び第65条⑨、労働時間については第4章、懲戒処分については65~66条などである。給与とパフォーマンスについて、給与は第6章で触れられているが、パフォーマンスは主に業績評価の方法について説明すべきもので、これは別途定める必要があるかもしれない。

実際にB Corp認証機関であるB Lab(Bラボ)で認められる体裁かは、本部とのやり取りの中で確認が必要で、また自社において正式に改訂・制定する場合は専門家のレビューや、労働基準監督署への届け出を含め必要な手続きを踏むことに留意する。

なお、ハラスメント防止の徹底について、厚労省が企業の事例や、トレーニング教材を提供している。

Supplementary Benefits
その他のベネフィット

What benefits does your company provide to all full-time tenured workers to supplement government programs?
政府の施策を補完すべく、フルタイムの従業員全員にどのような福利厚生を提供しているか

□ 会社での保育
□ 会社以外の場所での保育
□ 食費補助 (無料もしくは一部負担)
□ 母乳育児支援ポリシー
□ その他

選択肢について厳格な定義が無いため、例えば「コロナ禍で子どもの面倒を見ながら在宅勤務することをリモートワークポリシーに加えた」、「職場に子供を連れてきていいことになっている」、など自社で既に取り組んでいるユニークなものがあれば、認められるかどうかを事前に本部に確認しても良いかもしれない。
食費補助についても定義は無いが、就業日の昼食や夕食について清算可能としている企業があるだろう。また母乳育児支援としては、日本の場合労働基準法67条に、1歳未満の子どもを育てる女性から請求があった場合には、休憩時間の他に少なくとも1日30分x2回の育児時間を与えることが定められており、 前出の就業規則規定モデルにも第26条に記載されている。

Health and Wellness Initiatives
健康とウェルネスイニシアティブ

What health and wellness initiatives or policies does your company offer beyond insurer-provided programs?
保険会社が提供するプログラム以外に、どのようなヘルス&ウェルネスの取り組みやポリシーがあるか

□ 従業員が平日(勤務日)に健康増進活動に参加することを支援・奨励している
 (例:ウォーキングや階段利用など)
□ 従業員の健康リスク評価や健康増進活動に参加するためのインセンティブを提供している
(例:運動器具の購入資金やジムの会員費の補助など)
□ 従業員は、行動的健康に関するカウンセリングサービスやウェブリソース、従業員支援プログラムを利用できる。
□ 従業員の配偶者、パートナー、子供は、行動的健康に関するカウンセリングサービスやウェブリソース、
 従業員支援プログラムを利用することができる
□ 職場での怪我防止のための人間工学に基づいた方針とプログラムを実施している
□ 25%以上の従業員が過去 12 カ月以内に健康リスク評価を行った
□ 経営陣は、従業員のウェルネスプログラムへの参加状況に関する報告書を受け取っている
□ その他

従業員が少数の場合は出てこない質問だが、身体のみならず心の健康も含めたプログラムを実施しているかどうかも問われる。「行動的健康」はメンタルヘルスを広くとらえたもの。アルコール依存症、家庭内暴力等、心の不健康が問題行動につながるものを含める。厚労省では特に心の健康に関する情報をまとめているので、これをきっかけに考えてみてもいいかもしれない。

人間工学に基づいた怪我を防止するプログラムとしては、工場などで、頻繁にしゃがんだり腰に負担のかかることのないよう作業台の位置を調整するなどの試みが行われている企業もあるだろう。イギリスでは、Display Screen Equipment (DSE)と呼ばれる、職場でのパソコン作業についてアセスメントを行うことが義務付けられている。人間工学に基づき、ディスプレイの位置、腕の置き方、ソフトウェアの利便性などがチェックできるようになっている。大原記念労働科学研究所では、Vol. 74 No.1で認定人間工学専門家(CPE)によるオフィス環境における留意点などが書かれているため参考になるかもしれない。

Worker Empowerment
従業員エンパワーメント

Does your company monitor and evaluate your worker satisfaction and engagement in any of the following ways?
従業員満足度とエンゲージメントについての指標があるか

□ 離職率を算出している
□ 離職率を適切な企業とベンチマークしている
□ 定期的に(少なくとも年1回)従業員満足度やエンゲージメント調査を行っている
□ 満足度を同業他社とベンチマークしている
□ トレンドを明確にするために属性に応じて指標を分解している
□ 同業他社より離職率が高い
□ 同業他社より満足度が高い

上記で自社は取り組んでいると「✓」をすると、実際の実績を問う質問が登場するので、嘘はつけない。しかしこれを機に取り組みを始めることに減点は無い。Google formなど気軽に作成できるツールなどを活用し、ぜひ実施し結果を吟味してみてはいかがだろうか。

離職率のベンチマークとしては厚労省が雇用動向調査を実施している。全国平均且つ産業分類が大枠になってしまうが、手軽に比較できるソースである。

従業員が余計な不安なしに業務に打ち込めることで、会社の生産性も向上する。「うちは小さい会社だから」とは言わずに、従業員も会社もwin-winな仕組みを改めて考えたり、見直してみるのも楽しいかもしれない。

 

※上記の情報は2021年10月時点のもので、各種法律専門家・資格保持者の見解でないことにご留意ください。
 またBIAの日本語訳はB Lab公式のものではありませんが、B Labが発信している情報を元に解釈し、アプローチの例を示しているものです。
 各社のBIA提出において得点を保証し、減点を起因とする企業の経済・社会的損失に責任を負うものではありません。