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働きがいのある会社がどうコロナ禍を生き抜いたか

働きがいのある会社がどうコロナ禍を生き抜いたか

2020年10月にGreat Place to Work Institute(GPWI)が、働きがいのあるグローバル企業世界ランキング2020年版を発表した。
同時にレポートも発行されているが、それを元にトップ企業がコロナ禍でもなお従業員に愛される会社であり続けた理由を探っていきたい。

ちなみにGPWIは97か国にわたり10,000の組織を調査しているので、いわばそこで働く世界中の総勢約1000万人を代弁してランキングが作られている。
今回1位はCisco、2位はDHL、3位はHiltonとなった。

コロナではたくさんの企業が減益、解雇、縮小を余儀なくされた。そういった経済的ダメージの大きい環境下でも、働きがいのある会社はパフォーマンスが良いということがGPWIのスタディでわかった。
同じ経済的ダメージの大きかった、リーマンショックの頃のパフォーマンスを見ると、市場の平均は大幅減益なのに対し社員にとって良い会社は14%の増益なのである(基準などデータの詳細は不詳)。

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GPWIのレポートより

おそらくアカデミックにもこうした研究がされていると思うが、勇気づけられる結果である。

ではトップ3の会社の事例を見ていこう。

3位 Hilton

「101年の歴史の中でこんな危機に直面したことは無い」とCEOが語るコロナ禍、非常に厳しい決断を強いられた。一時帰休、労働時間短縮、減給に加えて、コーポレート業務を行う社員の22%にあたる2100人を削減しなければならなかったのだ。
一時帰休社員に対しては徹底的に仕事を斡旋し、9月中旬までには数千人規模で、AmazonやWalgreenなどの大企業に派遣することができた。

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GPWIのレポートより

他にもコロナによる社員や家族の被害に対しての金銭的支援や、休業中の社員にも福利厚生が継続して使えるようにしたり、Hilton卒業生のネットワークで仕事を斡旋したり、CEOの給与全額カットをはじめとし役員の給与50%カットなどできる限りの策を実行した。社員だけでなく、医療従事者へのホテル部屋の提供も行い、その数は100万泊に及ぶ。
日本にもこうした例は見られるかもしれないが、「ケアされている」と従業員が感じられれば、会社への恩返しとより強固なコミットメントにより、危機からの回復も早いと考えられる。

2位 DHL

従業員の安全第一、とCEOは早々にタスクフォースチームを設置し、日々進捗会議が開かれた。そして速やかにネット環境を整え、まるで「翌日配達便」のように一気に在宅勤務に転換した。
DHLが注目した社員の一番の不安要因は、収入と精神の安定。そのため一人も解雇することなく給料も100%支払うことにした。そして精神的なサポートのため、バーコードスキャンの機械に励ましのメッセージを送ったり、オンラインのヨガや瞑想のレッスンを提供した。また、在宅勤務での家族のケアをも重荷に感じないように力強いメッセージも展開した。

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GPWIのレポートより

「仕事と家庭の両立を悩んでいる?心配しないで!
みんなこれは大変なことだってわかっている。一緒に乗り切ろう。
・会議の最中子どもが後ろで騒いでても気にしないで。わかってるよ。
・フルタイム育児、且つフルタイム従業員として、要求に応えようとがんばっていることも理解してる。
・会議中、介護や育児で必要あれば遠慮なく抜けて。我々もケアしてる。
引き続き外出を控え、ソーシャルディスタンスを保ち、健康を維持して互いに助け合いましょう。あなたと私、私たち、が命を守ります。」


1位 Cisco

こちらは休業とは真反対、世界中が一気に在宅勤務に切り替えたことから24時間休みなく対応に追われることになった。そんなプレッシャーにどう従業員は耐えたのか。
CEOはじめとする経営層は、毎週75分間従業員の声を聞く時間を設けた。さらにアンケートなども実施した。そのことだけでも従業員にとっては、会社に大事にされているという感覚になった。さらに取引先への請求にも猶予を与え、カスタマーファーストで対応にあたった。

しかし1位になったCiscoはこれだけで終わらないストーリーがある。
今年の白人警察官による黒人暴行事件を発端にベストセラーとなった、ロビン・ディアンジェロ著の「White Fragility: Why It’s So Hard for White People to Talk About Racism(白人の脆弱性:なぜ白人は人種主義について話すのが難しいのか)」という2018年出版の本があるが、CEOのチャック・ロビンスは昨年の秋にこれを読んでいた。そして今年1月に、社内でも人権平等に取り組むべく、経営層と共に社内の18人の黒人幹部から話を聞いた。それはとても涙なしには聞けないものであった。しかしそれを無駄にしまいと、ロビンス氏は100日スプリント改善活動を立ち上げ、社内の差別問題解消に取り組んだ。

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Ciscoホームページより