B Corpとは

B Corpとは

全てのステークホルダーにとって良い会社である、ということの証明

アメリカ発の国際企業認証「B Corp」(B コープ)。従業員や将来の世代が誇れる企業を目指した二人の若者の理想に端を発し、今や認証を受けた企業は世界中で5000社を超える。

企業認証と言えば日本ではISOが主流だが、近年欧米の特に中小企業を中心にB Corp取得企業が増え、また認証企業同士の連携を強化し、よりよい世界を目指して旋風を巻き起こそうとしている。

B Corpの成り立ち

WIREDの創業者インタビューの記事が参考になる。スニーカーブランドを立ち上げ約300億円規模の会社に成長させた若き敏腕経営者の2人は「誇りを持てる会社にしたい」と考えていたが、この会社は売却後、その思惑に反する経営となってしまった。「株式会社」というものが営利目的である以上、株主の利益を優先しなければならない。そこで株式会社ではない、「ベネフィットコーポレーション」という別の企業形態を作った。株主だけでなく、従業員、顧客、環境、コミュニティなどありとあらゆるステークホルダーの利益を優先する会社だ。

「ベネフィットコーポレーション」はアメリカの一部の州法で制定されたものの、この概念を世界中へ広めるべく、B Corpという認証制度を作った。Bインパクト・アセスメント(BIA)という200問超の質問票に回答し、80点以上取得できれば認証を得られる。

そしてB Corpの認証の質を維持するために、B Corp認証機関であるB Lab(Bラボ)がきめ細やかに活動している。BIAにおいて偽りなく具体的な行動を伴ってソーシャルグッドを実現しているかを厳しくチェックすることに加え、BIAそのものを時代に合わせて見直したり、他にもB Corpを実現するためのツールやガイドを配布したり、取得企業同士の連携を深め、社会的ムーブメントを先導しようとしている。

B Corpを取得するメリット

①SDGsへの取り組み第一歩

認証を受けるための初めの一歩はBIAに回答することから始まるが、アセスメント通りに社内点検を進めていくと、自動的にSDGsへの取り組みがあらゆる分野にわたって実現されていくことになる。アセスメントはガバナンス・従業員・コミュニティ・環境・顧客と5つの領域に分かれるが、質問項目1つ1つがSDGsのどれかのゴールに紐づいているのだ。もちろん設立当初はSDGsは存在しなかったが、B Labの尽力により企業が取り組みやすいよう設計されている。なんとなく「SDGsに取り組まなきゃ」、でも「何から手をつけたらいいかわからない」という企業にはおススメだ。

②国内外からの信頼獲得

米英ではかなり知名度は高く、気候変動枠組条約に関連するイニシアティブにもB Corp取得企業が積極的に関わっている。理想を掲げるだけでなく実際にソーシャルグッドな会社を実現しているのだという証明により、海外企業とのパートナー提携においては信頼獲得に貢献するであろう。認証取得のためのボーダーライン80点(200点満点)というのはそう簡単でもない。そして回答を送信した後にはB Labから様々な証拠提出を求められる。さらに認証取得後も3年おきにアセスメントを受け、点数の向上が期待されている。厳しいプロセスであるが故に信頼のおける認証なのである。取得した企業名と点数はB Corpのウェブサイトに掲載されるし、もちろん「B Corporation」のロゴももらえるので自社ウェブサイトに貼り付けることができる。小規模の会社であってもソーシャルグッドへの意識が高い企業からコンタクトしてもらえる可能性があるし、ESG投資に積極的なファンドにもアピールできる。

➂世界規模のムーブメント参画

これは最近の新しい流れであるが、B Labは次のレベルを目指して認証取得プロセスそのものも大改革しようと動き出している。もちろんB Corpらしく全てのステークホルダーを巻き込んで行うため、かなり長期的になりそうだが、B Corp取得企業たちによる世界規模のムーブメントは既に起きている。B Labは北米にある本部に加え、支部が欧州、アフリカ、オーストラリア、南米などにあり、それぞれが環境・社会問題に対する啓蒙活動や企業同士の交流活動を活発に行っている。SDGs関連の対策は政府のみが行うのではなく、また企業1つで取り組むものでもなく、多くの企業・市民・研究機関全てが一体となって取り組む必要があるが、あなたがもし世界を変革したいと考えているのならばこのコミュニティを活用しない手はないだろう。

中小企業にオススメ

実際に世界中でB Corpを取得しているのはスタートアップ、家族経営など中小企業が多い。中には初期の段階から、アセスメントを活用して社内点検をしながらB Corpの概念に沿って会社を立ち上げようとするスタートアップもいる。実際「B Corp」の看板があればビジネス展開にも有利であるし、B Labもそれを応援している。通常は最低1年のオペレーション期間(会社の登記日ではなく、フルタイムの従業員を雇用し、パートナー企業や顧客と公式な契約を結んだ日を開始とする)を経過しなければ認証を受けることができないのだが、1年未満であっても一定の条件をクリアすれば「B Corp Pending」というステータスを取得することができる。残念ながら日本は対象外だが、最初から取得を目指した方が、動きも素早いし、拡大期に後回しになりがちなコーポレート業務も同時に取り組むことで効率よく会社の体制を整えられる。

もちろん大企業であるアウトドアウェアのパタゴニア、アイスクリームのベン&ジェリーズ、ヨーグルトのダノン、オールバーズ、ボディショップ、GapのブランドなどもB Corp認証を取得している(参照記事)。「B Corp」として具体的に、そして確実に行動すべく内規等を見直すプロセスもあるため、たくさんの株主と従業員を抱える企業にとって変更はなかなかハードルが低いかもしれないが、ある程度の基準は日本の法令に従っていればクリアできるものもある。またB Corp認証を取得せずとも、B Movement Builderという活動に参画することもできる。自社のしっかりとした取り組みを証明しつつ、それを超えて他企業/団体と、しかもグローバルに協力していくにはベストなプラットフォームである。

世界を変えたいのなら、

もし、あなたが「ソーシャルグッドな会社にしたい」、そしてそのパワーを生かして「世界を変えたい」、となんとなく思っているのならば、本腰を入れて推進すべく、B Corp認証を目指してみてはいかがだろうか。

B Corp取得企業 (22年10月時点)

(各社ウェブページ、B Corp公式ウェブページ等を参照)

行列のできるB Corp認証

2020年以降、世界中で申請企業が激増し、自己採点アセスメントを提出してから本部が確認を開始するまで1年以上を要している。取得を考えている企業は早めのアクションを。

B-Corp認証提出後のプロセスと待ち時間-22年9月時点
2022年9月時点

【クライアント企業のプロセス経過期間例】

A社

2021年2月:B Corp取得を決意
同年4/21:BIA提出
同年9/11:B Labよりレビュー開始の連絡
同年10/22:B Labとオンラインで対面レビュー
同年11/8:レビュー完了のお知らせ
同年11/16:認証料支払い及び同意書署名
同年12/2:正式に認証取得のお知らせ

B社

2021年5月末:BIA提出
(レビュー開始の連絡なし)